高知県の西の端に位置する大月町は、冬型の気圧配置になると
日本海から関門海峡、豊後水道と雪雲が流れてくる。
背後に四国山地のある高知市内とは違った気象条件だ。
大月町柏島から北の港はまるで季節風の叩きつける日本海。
海は荒れて船が出せないときは倉庫の中で網の補修作業だ。
先輩漁師たちに網の縫い方を教わる。
強い北西風で雲が厚くなったり薄くなったり、時々冷たい雨が突然降ったりやんだり。
「かわいい子犬がいるよ」
同僚が震えながら倉庫に入ってきた。
「ならちゃん、飼わない?」
どれどれと見に行くと道路脇の木の下の窪みに
三匹の子犬がいた。
茶色の体に黒の縞々模様。
まだよちよち歩きで警戒心はない。
「ほら、かわいいでしょ」
三匹のうち2匹はメスだ。
よくこの辺りでうろうろしている野良犬の子ということは
特徴的な柄ですぐにわかった。
12月25日、妻へのクリスマスプレゼントは縞々のオスの子犬。
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