パトカー

西日本の夏は日が長い。

仕事を終えて海から戻るとなんとなく町が騒々しい。

なんだろう。

車が多い。

パトカーが走っている。

「ただいまー!」

帰宅するとクマキチはうれしそうに迎えてくれる。

妻に話を聞くと今日は午前中からパトカーがたくさん走っているそうだ。

何か事件があったらしい。

 

 

妻とクマキチの散歩に出る。

植木を扱っている南国樹園と呼ばれている土地の周りに高知県警のパトカーや報道関係の車両が数え切れないほど集まっていた。野次馬もいる。

 

 

以前クマキチの散歩をして南国樹園の前を通ると植樹の奥から人が出てきた。

私は「こんにちは」と声をかけた。

するとその男はいきなり「何してる?誰だお前は?」とにらみつけてきた。

「何って犬の散歩ですよ」

「誰だ?」

「誰って、この向こうに住んでいる奈良岡と言いますが」

「うちの土地に入るな!」

植樹の中を散歩しているわけでもなく前を通りがかっただけなのに

なんでそんなことを言うのだろう?この田舎で珍しい人もいるものだ。

あれから二ヶ月ほどして、この事件は何なのだろう。

 

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